1993-01-01から1年間の記事一覧

十二月

青森市におられる佐藤米次郎さんからお便りがあり「朝鮮川柳」も盛んでしたね、仁川の池田可宵氏は長崎で活躍してますねとある。棟方志功画伯追憶板画絵葉書で、福士慶昭の「紅葉のすかゆ」。説明に「志功画伯は八甲田山の鹿内辰五郎仙人と深いゆかりをもち…

十二月

たまさかな手紙少しは鞭にするうすっぺらなおのれ気がつく枕ともおないどし老いを養う殊勝げに越年の激務とやらのひとり澄まし回り舞台闇将軍の死に徹し拡大鏡の字を拾う自分がそこにいるこの坂で本音鴉の仏頂面尊称に溺れた大人のあばら骨祭り笛冬は微塵も…

六〇九号(平成五年12月号)

題字 斎藤昌三 表紙画・カット 丸山太郎 川柳むかしばなし 東野大八 誹風柳樽拾壱編略註(四) 本誌主要記事摘録(三十二) 川柳評明和八年万句合輪講(三十二) 信濃の狂歌(一〇五)【六、更級・植科地方(11)】 浅岡修一 雑詠 大空 石曽根民郎選 山彦集 …

十一月

NHK文化センター松本教室でちょっとした話をしてくれと頼まれ出掛けたら、顔見知りの人がひとりいて頼もしかった。 川柳に少しくらいは関心を持っておられ、採り上げる作品にうなずいて、あとをねだるような雰囲気だった。 こちらも図に乗って、自分が初…

十一月

天の声ほんの昔をしぼり出す昏い胸ひそかに億のキー叩くお互いにおのれ織るべく戻り橋なつかしさのみに溺れず正眼よあるがまま老いの道草おこたらず一握の慶びごとにもたれ合うやわらかにその場取り持つ気負いとしまぎれなく揶揄と侮蔑の岐路糾す踏んぎれて…

六〇八号(平成五年11月号)

題字 斎藤昌三 表紙画・カット 丸山太郎 信濃の狂歌(一〇四)【六、更級・植科地方(10)】 浅岡修一 明和【川柳】評明和八年万句合輪講(三十一) 誹風柳樽拾壱編略註(三) 四国に旅して 所典夫 雑詠 大空 石曽根民郎選 山彦集 同人吟 課題「反面」 牛越…

十月

ぼんやりしていたら電話がかかって来て、ちょっと近所でコーヒーでも飲みに行かないかと言う。誰かと思ったら中学校時代の友人で、高校の先生を幾年か勤めたあと、予備校に教鞭を執っていた。 事務所をあずかっておる手前、こっちへ来て話さないかと返事する…

十月

たかめたき民度のうえのまつりごと使途不明やがて噴き出す業師たち生彩を欠く乏しさが矢面に弁じてははらはらさせて世を湧かす異分子の持って回した捨て台詞御一同様のひとりで追従笑い巨幹いざ人間と取っ組む知命頻尿の余儀なき時の間を遊ぶ衰えのまこと自…

六〇七号(平成五年10月号)

題字 斎藤昌三 表紙画・カット 丸山太郎 第四十七回長野県川柳大会 【信州博覧会・国宝松本城四〇〇年祭協賛 第十四回長野県芸術祭参加 宿題「澄む」堀松白選・「白鳥」井出秀夫選・「名物」桜井閑山選・「宝」曽我秋水選・「息抜き」中村英福選・「天守閣」…

九月

この六月、相模原市教育研究会の需めに応じて、蓼科高原の自然の村で、「川柳の心」を講義したがその奇縁が効を奏し、研究所で川柳を作ってみようということになった。 朝の打ち合わせの時の司会がみんなの作品を披露し、お互い批判の進言をして、ちょっとし…

九月

かかなべて戦雲払う祈りとし繁栄と挫折どこかで語ってる容れられぬ歯がゆさ墜ちてゆく雫すんなりと落ち着くとこのひと呼吸好日は遠くに切れているしじま寝太郎が発心運の負を越える公開の資産少な目に自戒とか競合のうえで成り立つ柔と剛台風一過されどくす…

六〇六号(平成五年9月号)

題字 斎藤昌三 表紙画・カット 丸山太郎 狂歌探訪余話(七) 酒井藤吉先生 浅岡修一 明和【川柳】評明和八年万句合輪講(二十九) 誹風柳樽拾壱編略註(一) 雑詠 大空 石曽根民郎選 山彦集 同人吟 課題「向く」 浅井由子選 「近所」 一ノ瀬春雄選 八月句会…

八月

小さいときから痩せっぽちで、ひょろひょろした姿勢、兵隊検査に丙種合格だった。合格とは聞こえがいい。尤も上位の甲種も乙種も合格と名付けていた。 小学校進級ごとに新学期は身体検査があって、裸になりあちこち診られるのが恥ずかしく、痩せたからだが一…

八月

深夜便 心の話ふと拾う老衰と老後の惜辞のあやにくにことわりぞ生きのまにまに逃げはせぬ継承のほかの手並みを遠巻きに国事練る身にすべからく軽井沢軽井沢嘗て鄙びし流し目よ寝そびれし夜気われながら句のひとつ若きらと酌む慶びの時を藉し 八月十六日 誕生…

六〇五号(平成五年8月号)

題字 斎藤昌三 表紙画・カット 丸山太郎 句に触れてみて 池田英恵 古川柳と俳諧精神 保坂千草 信濃の狂歌(一〇三)【六、更級・植科地方(9)】 浅岡修一 川柳評明和八年万句合輪講(二十八) 郷愁の街角―演伎座の活動写真― 下平満 雑詠 大空 石曽根民郎選 …

七月

信州博覧会とタイアップイベントの国宝松本城400年まつりが、七月十七日から開かれることになり、県内は勿論、県外で活躍している県人会のメンバーも率先参加する向きがあり、全国からの希望者を加え、前人気が上々の様子。 私の住んでいる通りは松本城に近…

七月

こだわりを捨て難きまで未だ達者噴水のぶっきらぼうに似た衒いなめくじの後腐りだがいとけなく見せつけては短絡的に泣き虫で面当てのどれを贈ろう花言葉首班への誰何流れはなんと説く連立の謳歌鞘当てから始まる枠組みのねばり腰さて数え合う確執がちらり党…

六〇四号(平成五年7月号)

題字 斎藤昌三 表紙画・カット丸山太郎 「柳多留」による川柳の普及 鈴木晃子 心に残った川柳 小松薫 「誹諧武玉川」と「誹風柳多留」の関係について 渡辺科子 信濃の狂歌(一〇二)【六、更級・植科地方(8)】 浅岡修一 川柳評明和八年万句合輪講(二十七…

六月

新聞の連載漫画で「あっぱれサン」というのがとても面白い。切り抜いて貼ることにした。元日より大晦日まで、またその翌年に続いたから、たまったのを繰り返しくりかえしたのしんだ。 また週刊誌に載った「すってんころりん劇場」が単行本になったので忘れず…

六月

銃社会揺れる風とも心とも先覚の明あり墨痕鮮やかにしたたかなやらせ紛々誰だろう枯淡とのつながりにぶく俗な雨いさぎよく老いとつき合い枕する数ならぬ身の程ぼかすまでもなく肩を落とし大人のお伽噺だつけ気取らない風が帰巣を見てござる束帯の古式に則り…

六〇三号(平成五年6月号)

題字 斎藤昌三 表紙画・カット 丸山太郎 贅説船饅 朴亭散人 現代における川柳の魅力 竹中涼華 川柳評明和八年万句合輪講(二十六) 信濃の狂歌(一〇一)【六、更級・埴科地方(7)】 浅岡修一 雑詠 大空 石曽根民郎選 山彦集 同人吟 課題「案の定」 吉江豊…

五月

後輩だって年は若くても、勉強すればするほど、素晴らしい事でも出来るから棄てたものではない、そこがおそろしい―それて後生恐るべしと言うが、これをもじって校正恐るべしがある。 後の祭りで、なんでこんなところを間違えたのだろうと悔む。たかが、支社…

五月

寡占の徒いずれ時代を捉えるかもろく潰えることわりのすがたとし駆け引きにからみ妥協の薄笑い残侠の手枕やっと月も化粧順応に語らば語れ性と老い老若のいのちひとつにある錯誤読み切りのお粗末生きて膝たたく戻り橋どこですませた怒りともやわやわと今はの…

六〇二号(平成五年5月号)

題字 斎藤昌三 表紙画・カット 丸山太郎 川柳と俳句の類似点 〜〜小林一茶の俳句より〜〜 鈴木優子 川柳の歴史と『柳多留』 北村桂子 感じたこと 大谷直人 川柳評明和八年万句合輪講(二十五) 信濃の狂歌(一〇〇)【六、更級・埴科地方(6)】 浅岡修一 雑…

四月

ことしはどこでもそうだが、花の便りが随分遅くなり、いまかいまかと待ちこがれるばかりだったが、例年より一週間ほど引き延ばされてやっと咲き始めた。 最盛期を選んで、大阪造幣局の桜並木を散策する風景は毎年テレビで観るが、羨ましいまでの賑やいである…

四月

ヤミ献金天秤の目がきつくなるみちびきの見えない愛の手に仕えかりそめの眠りやさしくして貰う壮行の小さなうたげ胸底に生きて生きて机辺を拭ういとまこそ衰えたりたしかに流れゆく雲と清貧と孤高にいどむ足の裏もろもろの占術抜かりない出番隠蔽の惧れなき…

六〇一号(平成五年4月号)

題字 斎藤昌三 表紙画・カット 丸山太郎 星のなかに 下谷亜希子 初代川柳のこと 本荘健一 川柳の変遷 平田佳代 信濃の狂歌(九十九)【六、更級・埴科地方(5)】 浅岡修一 川柳評明和八年万句合輪講(二十四) 雑詠 大空 石曽根民郎選 山彦集 同人吟 課題「…

三月

春分の日に祖霊祭があって、近くの神社に出掛けるが、前日、ご一緒しましょうとお誘いしてくれた人はお医者さん。この頃さっぱり診て貰わないでいるのでちょっと気が引けたが、ご厚意に甘えて自家用車に乗らせていただいた。 毎月一回は受診した方がよいと言…

三月

平和説く虫も殺さぬ死の商人愚行大国平和と武器を売りに行く怒りなきか死のマーケット大風呂敷政商の金を転がし病み上手億がまたぞろ動き過ぎた不信深い絆ちらつく雪が頬濡らす具わりを念じながらの尊厳死時に敏ならず一瓢を相携えやがて落ちつくまでの日の…

六〇〇号(平成五年3月号)

題字 斎藤昌三 表紙画・カット 丸山太郎 わたしを支えた川柳の灯【〜〜川柳しなの六百号に捧ぐ〜〜】 東野大八 謄写版刷り「玉柳」雑感 武藤禎夫 まさか?江戸万句合一枚摺りに入木 鈴木勝忠 諤々詩案 今野空白 川柳の特質と可笑味 曽美恵 リズムに就いて 本…