1961-01-01から1年間の記事一覧

十一、十二月

▽よほどのときでない限り、うちのお風呂で間に合わす。あんまり入浴するのが好きでなく、自分の気持ちにうまくタイミングしないと、家の者が入つても自分は入らない。わがままなひとだよと言うのを聞きながら、蒲団のなかで首だけ出して知らん顔したつもりで…

十一、十二月

寝酒をふくみ收めゆく怒りにならず 五十を聞き当て振り向けばさら〱雪が そゞろ短き人の世を思いたしかに住み 手をとり合うことにかまけては酔いゆく日 ことばにならず月の冷え辺りに来る 底冷えのしく〱と泣く昔語り 聞きすごしゆくこの齢のたわいなや かば…

二二八号

題字・斎藤昌三 表紙・武井清志 柳誌月評【全国柳誌一覧(三)】 橘祐 課題「除く」 武田光司選 不当な川柳通念と俳人 【島野国夫の「現代俳句における川柳的発想について】 石原青龍刀 花柳明暗(二) 奥津啓一朗 雑詠 大空 石曽根民郎選 山彦集 同人吟 句…

十一、十二月

▽よほどのときでない限り、うちのお風呂で間に合わす。あんまり入浴するのが好きでなく、自分の気持ちにうまくタイミングしないと、家の者が入つても自分は入らない。わがままなひとだよと言うのを聞きながら、蒲団のなかで首だけ出して知らん顔したつもりで…

十一、十二月

寝酒をふくみ收めゆく怒りにならず 五十を聞き当て振り向けばさら〱雪が そゞろ短き人の世を思いたしかに住み 手をとり合うことにかまけては酔いゆく日 ことばにならず月の冷え辺りに来る 底冷えのしく〱と泣く昔語り 聞きすごしゆくこの齢のたわいなや かば…

二二八号

題字・斎藤昌三 表紙・武井清志 柳誌月評【全国柳誌一覧(三)】 橘祐 課題「除く」 武田光司選 不当な川柳通念と俳人 【島野国夫の「現代俳句における川柳的発想について】 石原青龍刀 花柳明暗(二) 奥津啓一朗 雑詠 大空 石曽根民郎選 山彦集 同人吟 句…

十月

▽地方誌だから大した部数でないことは決まつているが、それでも外国へ五部だけ発送する。うち、誌友と交換があり、ひとつは従弟のところである。従弟は私の父の弟の長男ということになる。長くシヤトル市にいて、一度日本に来たことがあつたが、指折りかぞえ…

十月

重たげに首はいのちをまかせられ 首をがつくり夜景はまつしぐらに 酒が入つた首黙つて号令をする 首を据え嘘の善意に動かせない シルクハツト首に任務を強いてやる 革命に火を噴かれ首だけ歩く 花嫁さんの首重たしまかせた時間 どこかで万歳首は堅きカラーに…

二二七号

題字・斎藤昌三 表紙・武井清志 書評・山村祐著【評論集】『短詩私論』 小川敬士 天地人制について 岩本具里院 リアリテイ・諷刺 千歳健 課題「語る」 一ノ瀬春雄選 ひげ 渡辺幻魚 ヤマネ(山鼠)雑話 横内斎 花柳明暗(一) 奥津啓一朗 雑詠 大空 石曽根民…

九月

▽おうちは変りものだからといつて庄助下駄をいただいた。ここでことわつておくが、私は変りものだと言われるほどの奇癖や奇行があるわけではない。逆立ちして煎餅を喰つて見せる芸当も出来なければ、ろくすつぽ林檎の皮も切れないのである。よくよくの不器用…

九月

象は尻つ尾で今日を振れ切れず歩く 脱出の孤を画き兔の尻つ尾の稚気 たくらめる狐の尻つ尾月を黙らす 馬の尻つ尾に少女もすつくと立ち 勝敗の向うでは牛尻つ尾を鳴らし 奈良の鹿の尻つ尾旅に出たいな 豚の尻つ尾たまに茶漬けを夢見てか 快楽の尻つ尾少しよご…

二二六号

題字・斎藤昌三 表紙・武井清志 俳句と川柳のあいだ 藤岡筑邨 こんな句会はいかが? 荻原鹿声 【河野春三著】川柳作品集『無限階段』 小川敬士 河野春三作品集『無限階段』を見る 【戦後革新川柳の一つの足あと】 石原青龍刀 課題「落ちる」 一ノ瀬俊一選 雑…

八月

▽爪先きの冷たくなるのを防ぐスリツパ用の、それもチヤンと草履になつているコールテンの下履きを愛用して久しくなる。なるほど冬には至極防寒用で雪の降らない時はなかなか便利で重宝した。 ▽これは逝くなつた父の使つていたひとつの履物である。父は履き道…

八月

明日来るや今日の原子にいのちを支え 原子核擬す歎きの顔をひたに伏せしめ 膚くさらしに生まれしか死の灰降らす ヒユーマニズムねじり核たか〲とあがる ふたつの思想がふたつの核実験と並び 生きたがる顔もせず原子核を向ける 原子核もの言わず人ももの言わ…

二二五号

題字・斎藤昌三 表紙・武井清志 大正の惰性【−マジメな劣等感−】 岩本具里院 雑詠 大空 石曽根民郎選 山彦集 同人吟 足のある幽霊【−幻想的せんりう観−】 篠崎太堅郎【篠崎堅太郎】 裁判もの川柳考 春原源太郎 狂句の名の宿命4 石曽根民郎 合評「道」 【雅…

七月

▽刑事が来た。少しばかり見張らせてくれと言う。真向いの銀行でよく自転車の盗難があるので、犯人をさがし出したい、こゝなら丁度具合いがよいとはつきり打ち明ける。なるほど銀行の玄関の自転車置場を斜向いに眺められる。鍵を掛けてないオトリの自転車を置…

七月

わが団扇対立の底知つていて 灸を据える古きまことに乱れざる 夢を燃えあがらせ逆臣の正座 燃えることある老醜を或いは憎み 遠く親切の瞳をさがし寝入るなり 大物の分厚い掌が代償をとらえ 白い蛾に罪の深さを夜が押す かきむしる記憶ありかの闇に負けじ 酒…

二二四号

題字・斎藤昌三 表紙・武井清志 口絵 武藤完一 幽霊を見た話 新巻圭太郎 江戸川柳より徳川大奥に迫るの記 【−貨幣吟と紋章吟の交錯−】 阿達義雄 枝にぶら下がる革新 荻原鹿声 【柳多留の版元】花屋久治郎遺跡の碑 【−移築によつて意義を失う−】 本山桂川 課…

六月

▽自転車に錠をかけたことは確かだが、さて鍵はどこへやつたろうと、慌てれば慌てるほど見つからない。少し左利きのところがあつて、書くときは右手だが、ポケツトに手を入れるときは左の方が多いようだ。だから左のポケツトに入つていなければならない筈なの…

六月

ひやゝかに棲むかのけもの夜を待つと むかし来ず大河は曲りゆくばかり 敗れ去る想いか犬もこちを向く いかめしき風景を消すたゞに酔う ゆずり合う言葉のうちに居据わられ 子らそゝくさと寝にゆく部屋を分ち 憂きことの小さき酔いの正しかり のぞみあらばこそ…

二二三号

題字・斎藤昌三 表紙・武井清志 口絵 武藤完一 現代川柳に於ける性の許容 高鷺亜鈍 民主主義川柳の指導者九里三作をとむらう 石原青竜刀 狂句の名の宿命3 石曽根民郎 医者と川柳2 鈴木重雅 「川柳かねやす」の不明句 千葉治 課題「髭」 吉江義雄選 雑詠 大…

五月

▽飼い犬はそこの主人の性質をそつくりだと言う。とすると私ンところの犬は、何かおちつかなく、こせこせして尾を垂れつぱなしだ。なるほど自分のはしたない日常性をのぞかれているようである。 ▽変なところで強がつて見せ、ほんとうは弱いんだが、それらしく…

五月

たゞに住むここよりよきを念わずと 一矢酬い得てしらじらと壁は塗られ みずからを衝つゆとりあることの横顔 翳を拾いこころの傷に目覚めたり バーの止り木に明日知る顔をのがし はげしき山真向いためしゆく日頃 腹這いのここに敗北感を沈め 酒を喰らいおのれ…

二二二号

題字・斎藤昌三 表紙・武井清志 口絵 武藤完一 寸考日記 田畑伯史 川柳かねやすゆうげん −江戸名物志−2 花咲一男 推敲 船木夢考 ロ号演習顛末記1 所典夫 川柳遊戯考補遺3 奥津啓一朗 雑詠 大空 石曽根民郎選 山彦集 同人吟 課題「山」 小松耕吉 合評「道…

四月

▽昨年、松本で開かれた第十四回長野県川柳大会の協議のなかで、満場一致して中島紫痴郎氏の句碑建立のことが採り上げられ、地元を中心とする常任委員会によつて着実に進行、十一月九日には地鎮祭が、本年三月七日に建設が完了して、この四月九日の佳き日を卜…

四月

人間ロケツト飛ぶ日静かにうたを考え 嘆き且つ詠うゆとりのなかに棲め マスコミのなかで うたうたう ひそかな安堵 十七音律に奏で小さき世界われは貰う 宇宙船飛び立ち敢えてうたは低かれ むかし遠けれどつゞくうたすつくと起ち みにくき人の群よすこやかに…

二二一号(昭和三十六年4月号)

題字・斎藤昌三 表紙・武井清志 口絵 武藤完一 狂句の名の宿命2 石曽根民郎 川柳遊戯考補遺2 奥津啓一朗 雑詠 大空 石曽根民郎選 課題「稼ぐ」 山口山楽選 川柳句碑あれこれ 本山桂川 松本の思い出 柳君子 川柳つれづれ 岩井汗青 山彦集 同人吟 句会報

二、三月

▽二月十二日に松本市神道会館で一志茂樹氏学位受領の記念会が行われた。嘗て小学校に教鞭をとられたことがあつただけに、そうした関係の人達が大部分で、なかに郷土研究家や私のような物好きなものが集つて、一志さんの喜びを共に頒け合つた。 ▽一志さんは松…

二、三月

掲出句なし

二二〇号

題字・斎藤昌三 表紙・武井清志 柳誌月評【全国柳誌一覧(二)】 橘祐 本とコブシの花 塚原健二郎 雑詠 大空 石曽根民郎選 山彦集 同人吟 川柳時評 石原青龍刀 【一九六一年年頭を飾る柳界二つの出版 −「詩川柳考」と「中村富二句集」−】 課題「記者」 窪田…