九月

   象は尻つ尾で今日を振れ切れず歩く


   脱出の孤を画き兔の尻つ尾の稚気


   たくらめる狐の尻つ尾月を黙らす


   馬の尻つ尾に少女もすつくと立ち


   勝敗の向うでは牛尻つ尾を鳴らし


   奈良の鹿の尻つ尾旅に出たいな


   豚の尻つ尾たまに茶漬けを夢見てか


   快楽の尻つ尾少しよごれ許したがる


   曠野のごた煮尻つ尾もある生きてやれ


   人間の尻つ尾理智を動かしているつもり