2016-07-01から1ヶ月間の記事一覧

情歌

深志神社境内にこんな歌碑があります。 蟻も通さぬ人目の関を 夢は巧みに抜けて行く 作者は北城庵香風、本名は丸山喜代太郎、慶応元年、松本市蟻ケ崎で生まれました。長く大名町にあった頃の松本警察署に勤めながら情歌をよくし、県内外に宗匠格として鳴らし…

夕涼み

交通がこんなに激しくなかったころのこと、街がほこりっぽくなりますと、道路に水をまきます。家の前の溝からヒシャクで水をすくってはまきました。溝は沈殿物が発酵すると臭気が激しく、衛生上よくありませんので、溝さらいをよくやりました。そのころの子…

芝居のこと

食糧事情が少しずつ好転すると、戦争が終わった解放感もあって、町や村で素人演劇が盛んでした。 戦地から帰った若者たちを含めて、いく日かのけいこの成果を、晴れの舞台に披露するというものですから、隣近所はもちろん、大勢の人が観にいきました。 公会…

うなぎ

落語に「素人鰻」というのがあります。ウナギを料理しようとするのですが、素人の悲しさ、ウナギをつかまえることができません。ぬかをかけたりして、やっとのことでつかまえて、キリで仕止めたところ、こんどは脇のウナギが逃げ出します。捕えようとするの…

花火

夕飯がすんだあと、気が向くといくらかでも夜気にふれたいので屋上にのぼります。そして満天の星を眺めます。さすが澄んだ夜空です。日本で最もきれいな空は、松本と北海道の根室だ、といわれたものですが、いまはいかがでしょうか。 街々の灯り、その向こう…

花火

夕飯がすんだあと、気が向くといくらかでも夜気にふれたいので屋上にのぼります。そして満天の星を眺めます。さすが澄んだ夜空です。日本で最もきれいな空は、松本と北海道の根室だ、といわれたものですが、いまはいかがでしょうか。 街々の灯り、その向こう…

夏祭り

あちこちで夏祭りの花火があがり、太鼓の音を耳にしますと、もうあれから一年たったのかと時の流れの早さにおどろきます。 七月十四日、「今夜は宮村町の天神さんの八坂神社に行くぞ」と、子どもたちは川原へ青い葦をとりにゆきます。青、黄、白、赤、黒の五…

相撲興行

大相撲の地方巡業は、たいてい深志公園の広場でした。今は市民会館や放送局の建物があって、あそこが大きい広場だったなんて、とても想像ができません。 広場の南には池があり、小高いところにキナパークという活動写真館がありました。広場の西側は、南深志…

うちわ

「暑くなったわね。そろそろうちわがほしい頃だが、いまにどこかで持って来てくれるだろう。それが待ち遠しいよ」 出入りの商店の顔馴染みが、暑中見舞のご機嫌伺いに、家ごとに配ってくるのをあてにします。 名入れのうちわを手にして、やっと夏らしい気分…