2016-05-01から1ヶ月間の記事一覧

ドッコイショ

母から教わった昔ばなしです。 親類へお客によばれていったら、お団子をこしらえてくれ、そのうまさがこたえきれない。「これ何というの」と聞くと「お団子さ」「忘れないで覚えていこう」そこでオダンゴ、オダンゴと繰り返しつぶやいて歩く。すると途中に溝…

猿廻し

暖かくなって来ると猿廻しが一軒、一軒隅々までその姿を見せました。 門口でしょいなげをする猿廻し (柳多留 一八) 背中の猿をポイとあがり口へ投げ出す様子ですが、立ち上がってヒョイヒョイとステップを踏んで、愛嬌たっぷりに表情をつけます。家族一同…

れんげ草

陽気がよくなったので、ぶらっと安曇平方面に足を向けていました。その日はとても晴れて、大空は高く、陽の光りもまことにおだやかでした。 その頃、安曇平に居をかまえていた小林邦画伯を訪ねました。幸いにも画伯は構想を練っていたモチーフがきまったとき…

旅に見る雲

苗を植える月、早苗月をつづめて五月をさつきと異称します。吹く風も夏めいて新緑葉に映える好季節。その風薫る五月十日が私たちの結婚記念日です。「昭和の何年ですか」と問われ、頭が禿げ皺のある顔をつくづく鏡で見るとき、さて指折り数えてうたた感なき…

わらび

「ぽかぽか暖かくなったから、街にばかりいないで遊びに来給え」と、友人から誘いがかかりました。とんとご無沙汰なので、ふらっと出かけました。よもやま話のあと、こちらにはワラビがよく出るということを前もってお知らせがあったのでそのあたりを歩いて…

母の日

三浦朱門、曽野綾子は小説家のおしどり夫婦として健筆をふるっていますが、中信地方の病院長を歴任した鳥羽とほる、その令夫人鳥羽紀子は俳句作家です。 合せやる春着の胸よ吾娘二十歳 紀子 年頃になった娘の着付けに心くばっている母親の愛情が、こよなく伝…

小鳥たち

「どうも家にばかりシコリケッテいるな、たまにゃ外に出るセ、探鳥会ナンカ気晴らしにイイダジ」 方言丸出しで誘ってくれる友達がいてくれるのも嬉しいものです。ついつい重い腰をあげて、近いところの塩尻峠の小鳥を訪ねるべく出かけました。 小鳥バスの運…

お船祭り

思い合わせたように新聞紙で作ったカブトをかぶり、腰に棒をさして飛び廻ったのが、五月節句の小さいときの記憶として残っています。 菖蒲太刀乳母どっこと請けとめる (柳多留 一〇) のように菖蒲太刀で遊んだものと見えます。 それから思い出すのは、幟の…

お朔日

五月一日はメーデーです。職場からの要求が、墨痕鮮やかにいくつもプラカードに大書され、街道に躍り出ます。 全国いたるところ、この日を期して賑やかに市中を練り歩く示威運動は年中行事のひとつで、欠くことの出来ない労働祭として意義づけしています。 …