1980-09-01から1ヶ月間の記事一覧

九月

▽持病があるわけではないが、何かの折、近所の医者はさりげなく、あんまり俺の処の厄介になるのはいい加減にしてサ、ほどほどの晩酌をやって見るのも、からだを可愛がるひとつの方法だと、柔和な顔つきをする。それまでは家で一滴も飲みたがらずに控えていた…

九月

気遣って戻るうしろを月濡らす 耳打ちのあどけなさ陽もまたゆるく 恩情におののく小さき灯を見たり 新しい秋に乗っかる老いの艶 拭き終らないからだ明日に持ち越し 連れ立ってさても別れがつきまとい としの差のへだたり理屈なく覚める しのび寄る老いのたし…

四五〇号(昭和五十五年9月号)

四五〇号特集 題字・斎藤昌三 表紙・いしぞねまさかつ カット・丸山太郎うつろひの中にあかしを 今野空白 盲目の垣覗き評 江端良三 現代川柳から見た古川柳(2) 稗のアンポ 向山雅重 秋山郷抄記 雑俳雑記 鈴木勝忠 ―「川柳辞彙」の未考句 江戸深川の鎮魂歌…