2016-01-01から1ヶ月間の記事一覧

めんこ

大正初めに少年時代を過ごしたものは「めんこ」をして遊んだ思い出をもっています。 丸い形のボール紙に、英雄や軍人の極彩色の木版画を貼り、裏は浅黄色の紙を貼ったものです。大きいの、小さいの、厚さもいろいろあります。 ジャンケンをして負けたものは…

雪見

いざゆかん雪見にころぶ所まで 芭蕉 こうした風流はほんとうに奥ゆかしいもので、雪の美しさを雪見のなかで見つけようというのです。そのうえ、雪見酒を酌みながら一句を吟ずるなんてことになると、雪景色の醍醐味は増すばかりでしょう。 雪見● ある雅人、雪…

松本城風景

南安曇郡安曇村島々にいて、のち松本に移り住んだ加藤大道は版画をよくし、通信販売も手広く全国に同好者をもっていました。田舎風景のなかにいつもあどけない子供たちを入れることを忘れずに描きました。 雪を少しいただいた「松本城」は墨一色で、城の威容…

炭俵

今は駅から歩くか、少し遠いからクルマで飛ばそうか、という時代です。終戦直後の松本駅前にはタクシーの姿は見あたらず、急用の時はウロウロするばかりでした。 その当時は木炭車というのが走っており、よほど顔がきかないと乗れません。一番困ったのは、苦…

能狂言

旧松本裁判所入口北の片隅に井戸があって、水が湧き出ていたのですが、いまは取り壊されてあとかたもございません。このあたりから石の地蔵菩薩が出現されたということで、地名を地蔵清水とした、といわれます。 この地蔵清水の北へ突き当たったところに、カ…

凧揚がれ

何となしに見上げたら、松本城のすぐ横に凧がひとつ。それほど風があるわけではないのに、空高く舞い揚がっているのは、さすが正月風景。おだやかな雲がうっすらと浮かんでいます。 凧といえば福助、奴の絵のあるのを買ってもらい、棒の先につけたり、手に糸…

鶯の初音

「ホー、ホケキョと、いい声で鳴くから聞きに来給え」と友人から電話がありました。お正月早々縁起のよい知らせなので、新年の挨拶がてら、ウキウキしながら訪ねると、友人は快く迎えてくれます。 鶯は、“梅に鶯”のたとえのように、春近くなって梅の咲く時分…

兎田

「おめでとうございます。今年はいいとしになりますように」――。正直じいさんがニコニコしながら挨拶しますと、欲深じいさんは、意地悪そうに「さあな、いいとしになるかどうか、わかるもんか」といいます。「まあ、どっちになるか。初夢でうらなって見よう…

お元日

すがすがしい気分で、新春をことほぐ家族の者たちと初詣に出かけます。うやうやしく拍手をうち、その音を自分でたしかめ、生きている幸せがしみじみわいてきます。 元朝の城の鯱の尾より陽ざす 深志城 見上げれば城は高々と威容をかまえて、元日の佳き日を迎…