1969-01-01から1年間の記事一覧

十一、十二月

▽町内の気寄ったものたちだけの会合は毎月二十三日ときまっており、会場の選定は順繰りに一人が受け持つことになっている。たまたま十二月の例会の当番は私だった。小さな町だが、さがせば変った場所があるものだが、あまりこうした世界に暗い私なので、ちょ…

十一、十二月

顔を洗い出直す朝のほんとらしさ 妻のいびきにふれながら落ちてゆく かいま見る箸の運びのわびしさよ のがれるように横たわる枕たしかめ ひとり寝にゆくまこと月の出がある 年の瀬の訃の極まれる生命とぞ 降る雪のよごれなく時惜しむなり ふと目覚めては至ら…

三二一号(昭和四十四年11・12月号)

【号数がとんでいる?】 題字・斎藤昌三 時事川柳の諸問題 石原青竜刀 雑詠 大空 石曽根民郎選 山彦集 同人吟 柳多留初篇輪講(七八) 句会報

九、十月

▽いくつかの川柳雑誌が発行されて、みんな熱心な意気込みであることが頼もしい。句会報にとどまっているのもあり、それがそれで同志の結びつけに役立つとすれば満足なのだろう。小人数であるだけにそうした傾向は否みきれないのである。 ▽いつも企画を忘れず…

九、十月

陥穽の淵に爪立つ見せてやる 権力の昼寝ぐずついた天気だ ひたす波ありそのこころわかりながら はしたなき行為のうえの齢を見られ 事あれかしと待つ顔に目をつむる わびしくも言葉選ばせ並ぶなり いたらざる悔いいそいそと消えたがり 人容るる目のまえに道つ…

三一八号(昭和四十四年9・10月号)

題字・斎藤昌三 やぐらの上の柳俳接点談義 東野大八 川柳評萬句合ところ〲【安永八年三月十五日開】 鈴木重雅 雑詠 大空 石曽根民郎選 山彦集 同人吟 柳多留初篇輪講(七七) 句会報

七、八月

▽道路に面したところに工場がある。松本城にほど近いこのあたり観光客のことを考えたら、工場をここに置いておくのは甘い、奥にひっこんで、おもてをもっと活用したらどうかという意見をちょいちょい人が出してくれた。 ▽前に商店診断をして貰ったとき土産物…

七、八月

さかしらに振舞わぬ瞳にすがりゆく 雑然と世情の声に触れてやる 闘いはつづく自分の甘い孤独 ひとり寝にゆく齢のおかしさに馴れ 美しきとりこ姿を変えたがる 論評と違う意識を黙って抱く 信じたきこの世のまことおもいつづけ 身をかわさんとむかし馴染んだう…

三一七号(昭和四十四年7・8月号)

【前号から通し番号がとんでいる?】 題字・斎藤昌三 楽しきかな川柳集会 東野大八 第一回誌上川柳親睦の集い 「今日の教育界」 塩見一釜選 「橋のある風景」 伊勢さかゑ選 「流れる」 宮崎慶子選 「一粒」 土屋純二郎選 「空間」 安井久子選 ぼてふり 小谷…

六月

▽宮尾しげをさんの「日本の戯画」が第一法規から出版された。庶民の笑いと諷刺という広告文がついているが、まさしく歴史と風俗の絵巻物である。天平時代から昭和二十年までの長い間の変遷が興味深く綴られている。 ▽そのなかの大正十四年、左翼漫画出現の項…

六月

掲出句なし

三一五号(昭和四十四年6月号)

題字・斎藤昌三 具里院巷談(五) 岩本具里院 まあちやん、おはよう 所典夫 雑詠 大空 石曽根民郎選 山彦集 同人吟 柳多留初篇輪講(七五) 句会報

五月

▽大掃除をしているとき、畳の下の新聞の記事につい気をとられ、縁側まで持って来て、ちょっと疲れているのをいいしおどきと、興味深げに読んでゆく。そんな漫画がサザエさんにあったと思う。興味深げにというより、なつかしいという方が当っているのかも知れ…

五月

掲出句なし

三一四号(昭和四十四年5月号)

題字・斎藤昌三 柳誌四月号評【立場としての感謝】 岩井汗青 川柳時評「雪国川柳」問題から 石原青龍刀 【岡田甫】「川柳絵本柳樽」評【庶民の体臭】 浜田義一郎 具里院巷談(四) 岩本具里院 雑詠 大空 石曽根民郎選 山彦集 同人吟 柳多留初篇輪講(七四) …

四月

▽無理強いすることをオシゲするというのは松本地方の方言だが、もう充分いただきましたと、しきりにあやまっているひとに、酔った勢いで相手かまわず無遠慮に酌いでやる。とてもとてもと手でふさいでことわるのも聞かないで、お体裁ぶってなんだ、おれの酌で…

四月

掲出句なし

三一三号(昭和四十四年4月号)

題字・斎藤昌三 具里院巷談(三) 岩本具里院 風刺について 東野大八に望むこと 石原青龍刀 柳多留初篇輪講(七三) 句会報

三月

▽見知らぬひとが訪ねて来た。さて誰だろう。「私の顔を覚えているかい」と言つてにこにこ笑いかけるのである。思い出せないもどかしさ。首をかしげる。先方では知っていて、からかい気味だが、押しつけがましくはない。とうとう名乗ってくれて、何だ、おやそ…

三月

掲出句なし

三一二号(昭和四十四年3月号)

題字・斎藤昌三 具里院巷談(二) 岩本具里院 サクラ 横内斎 柳多留初篇輪講(七二) 句会報

二月

▽雨露を凌ぐという言葉がある。わが愛犬のねぐらはそんな風情がただよい、ひつそりと物静かだ。ただ黙つて忍耐強く、わがからだを包むようにして眠つている。眠つていても、物音がするとカツと目を開き、すかすが如くその方に頭をもたげる。年を取つたとはい…

二月

掲出句なし

三一一号(昭和四十四年2月号)

題字・斎藤昌三 柳誌一月号評 東野大八 木挽きのぬか 岩井汗青 課題吟「差別」 一ノ瀬春雄選 大村沙華「川柳浄瑠璃志」について 石原青竜刀 具里院巷談(一) 岩本具里院 雑詠 大空 石曽根民郎選 柳多留初篇輪講(七一) 句会報

一月

▽一月十八日の東京は割合暖い日であつた。わざ〱電話で教えてくれた渡辺蓮夫さんのおつしやる通り、新宿で地下鉄に乗つて、中野の宝仙寺に赴いた。この日は、川上三太郎さんの葬儀の営まれる哀惜の日である。 ▽予ねて臥床とお聞きして、一時小康を保つていた…

一月

掲出句なし

三一〇号(昭和四十四年1月号)

題字・斎藤昌三 柳誌十二月号評【去る人来る人エトセトラ】 東野大八 課題吟「恩」 下畑辰二郎選 川柳時評【川上三太郎死後の柳界】 石原青龍刀 奥伊豆の一夜【小稲のオカグラ】 山村祐 「大正川柳」と仲条の句 早川右近 民郎英訳川柳 原真弓 雑詠 大空 同人…