1964-03-01から1ヶ月間の記事一覧

三月

▽わが愛犬は柔順である。朝の用を足したあと、鎖をじやらつかせるだけで耳にその音を読み、首うなだれて身をまかすのである。鎖は彼女にとつて桎梏の響きを呼ぶのであろうが、それが生涯によこたわる宿命と観じてもいるのである。囚われの身を、既に生れたそ…

三月

長女嫁く 三月二十一日 手離す夢をいまぞ知る遠きつぶやき そゝくさと旅立つ子らは山と別れ 流れた齢を数えず嫁くはよしとす 祝福をあつめくれないの色を想う ひとみな倖せをいう涙ぐむか あゝ海に描く新妻となる日を生むよ どつかと坐り子がいない安堵のお…

二五四号(昭和三十九年3月号)

題字・斎藤昌三 表紙・丸山太郎 柳多留初篇輪講(一七) バツカス昇天 松本芳味 【―嗚呼、勝次郎と伊太古よ―】 雑詠 大空 石曽根民郎選 山彦集 同人吟 星華集(自選) 寺沢正光 三代豊国論(二) 尾崎久弥 句会報