三月

      長女嫁く 三月二十一日


   手離す夢をいまぞ知る遠きつぶやき


   そゝくさと旅立つ子らは山と別れ


   流れた齢を数えず嫁くはよしとす


   祝福をあつめくれないの色を想う


   ひとみな倖せをいう涙ぐむか


   あゝ海に描く新妻となる日を生むよ


   どつかと坐り子がいない安堵のおごり


   のがれ得ぬ子の愛のほのかにわびし


   酔いをひとりして子を嫁かしめよ


   波静かなる地ふたつの顔かさなる