2016-02-01から1ヶ月間の記事一覧

炬燵

寒くて困っているとき、なにはなくとも炬燵です。何よりのもてなしであります。 肩をすぼめ、風邪をひくんじゃないかと思って、ブルブルしているとき、「サアサアお当てなさい。ご遠慮なさらないで」。そういわれて炬燵にもぐりこむとほかほかとあたたかく身…

猫の恋

猫が一貫目になれば祝ってやらねばならない――といういい習わしが、松本地方にはあります。つまり油断がならないからです。丁重に祝ってやると、猫はどこかに行って、長く姿を隠すものだとされていました。 長患いをしている寝床のまわりに猫が来て、なかなか…

スケート今昔

松本城の内濠は、むかし松本中学校内にありました。冬になると濠は結氷しますので、体操の時間にはスケートのできる生徒が盛んに滑走したものです。スケートを好まない連中は、先生の号令一下、寒冷もものかは吐く息も荒く濠の外側を駆け回りました。 外濠と…

松本弁

遠く宮崎県に出張したとき、事業所の休憩室で話していると、そのなかに割りこんだ人が「あなたは松本のひとですね」とだしぬけにいうのです。「どうしてわかるのですか?」「それ、その松本弁ですよ」と、押し返すように、ニコニコしながら顔を向けてきまし…

針供養

縫針の折れたのや曲ったのを集め、豆腐にさしてまつる行事を針供養といいますが、二月八日がその日です。長い間かたいものを縫って下さった針さん、有り難う、ご苦労さま。きょうはやわらかいものにさしてあげますから、どうぞゆっくりお休み下さい。 和裁に…

追倉の綱引き

親類に商家があり、そこの店員たちが店の余暇を利用し腕相撲をして戯れているのをよく目にしたことがあります。少年の頃です。 やっているうちに、寝て腹ばいになるくらい熱が入るのですが、あぐらをかいたまま、ちゃぶ台を土俵にする方法もありました。その…

節分

「福は内、鬼は外」と家の中で豆をまいたあと、家族が一緒になって炬燵にあたり、まき残った豆をつかむ。三回のうちに、自分の年の数だけつかむことができれば、「今年は運がよい」といいました。 それを紙に包んで、四ツ辻に捨てて来るのですが、うしろを振…