十一、十二月

   顔を洗い出直す朝のほんとらしさ


   妻のいびきにふれながら落ちてゆく


   かいま見る箸の運びのわびしさよ


   のがれるように横たわる枕たしかめ


   ひとり寝にゆくまこと月の出がある


   年の瀬の訃の極まれる生命とぞ


   降る雪のよごれなく時惜しむなり


   ふと目覚めては至らざる齢に真向い


   笑い納めて散るそのぬくもりあれや


   行き着くるなしこの道にうなずく日々