1980-09-25 九月 月々の句 気遣って戻るうしろを月濡らす 耳打ちのあどけなさ陽もまたゆるく 恩情におののく小さき灯を見たり 新しい秋に乗っかる老いの艶 拭き終らないからだ明日に持ち越し 連れ立ってさても別れがつきまとい としの差のへだたり理屈なく覚める しのび寄る老いのたしかな道しるべ 思い立つ旅のゆくえを知らぬなり 熟年のしずくしたたか落ちるのみ