五月

   たゞに住むここよりよきを念わずと


   一矢酬い得てしらじらと壁は塗られ


   みずからを衝つゆとりあることの横顔


   翳を拾いこころの傷に目覚めたり


   バーの止り木に明日知る顔をのがし


   はげしき山真向いためしゆく日頃


   腹這いのここに敗北感を沈め


   酒を喰らいおのれの底の陽あたりよ


   越す山はあれと枕のよごれさえ


   縮図さらしひよつとこおかめはずさない