六月

   ひやゝかに棲むかのけもの夜を待つと


   むかし来ず大河は曲りゆくばかり


   敗れ去る想いか犬もこちを向く


   いかめしき風景を消すたゞに酔う


   ゆずり合う言葉のうちに居据わられ


   子らそゝくさと寝にゆく部屋を分ち


   憂きことの小さき酔いの正しかり


   のぞみあらばこそ墓に佇つ日のまこと


   求め得ぬ道つゞく生きの間をとらえ


   思いたくまずきれ〲のうぬぼれよ