十一月

天の声ほんの昔をしぼり出す

昏い胸ひそかに億のキー叩く

お互いにおのれ織るべく戻り橋

なつかしさのみに溺れず正眼よ

あるがまま老いの道草おこたらず

一握の慶びごとにもたれ合う

やわらかにその場取り持つ気負いとし

まぎれなく揶揄と侮蔑の岐路糾す

踏んぎれて落ち葉の道をゆくまとも

老いぬれば薬餌仕込みの目を覚ます