1957-01-01から1年間の記事一覧

三月

▽金子呑風さんの肝入りで昨年十一月廿七日上田市新田の呈蓮寺に花岡百樹さんの句碑が建立される催しがあつた。信州柳壇の大先輩だつただけに意義ある式典で、私も是非馳せ参じたいと思つてゐたが、病床にある老父を気遣ひ祝電を打つて出席は遠慮してしまつた…

三月

事勿れ主義のうまみが拾へた齢 人肌の限りを越えずいぢめつけ 乗じ得る手合ひの底でこたへさせ 一片の煙りうきよと言ひたがる 人生の余白埋めゆくや月と歩み 酒うまく天下小さしとも言はで 小娘の唇を濡らして知り足らず 老残の求めて淡き誓ひする あはれ人…

一七八号

表紙 山近き町 丸山太郎 口絵 名産椎茸 武藤完一 写真 エゾイタチ 穂苅三寿雄白鳥 比企蝉人 課題「草花」 清水米花選 ざんざ節 向山雅重 飴さんの命日 船木夢考 異色ということ(下) 佐藤冬児 【 佐藤青旗氏の作品 】 各地だより 東京=伊太古 【 陽春柳界 …

二月

▽頃日、加藤楸邨さん、木俣修さんと席を共にする座談会に恵まれた。川柳、俳句、短歌の交錯する諸問題を議論することではなく、或る職場の文芸欄をお互ひジヤンルに於て如何に育成発展させるかといふありふれた話し合ひに終始した。 ▽つゝましやかな人であつ…

二月

水爆実験つゞく 国のする殺人一瞬蒼をも殺し 神をひた隠し死の灰の驕り見よ 実力の行使へ国も負けたがらず 弱いものいぢめのニユース肩を並べ ひとをあやめる国々のかちどきを響かせ 抵抗の首にちらかる放射線 モラルを押へ人の死に小手かざす 無視と敢行の…

一七七号

表紙 春未だ 丸山太【郎】 口絵 大分港桟橋 武藤完一 写真 三九郎の歌 穂苅三寿雄異色ということ(上) 佐藤冬児 【佐藤青旗氏の作品】 柳誌月評 源一白 各地だより 北海道【テレビと春】 三平 東北【おらがお山】 伯史 九州【病院と川柳】 泥柳 雑詠 大空 …

一月

▽十二月はとう〱休刊してしまつた。十二月号は如何にもして年内のうちに発行したいと思つてゐたが、俗事多忙に加へ急に取り込みが出来たりして、精神的にも狼狽したかたちになつてゆく自分ひとりのおきどころを、師走の押し迫つた一日々々に重くるしく感じ取…

一月

父逝く 昭和三十一年十二月二十七日とふ日 おごそかに凍る師走の夜の訃歩く 骨は全く枯れ夢を收めたり 不足なき齢といふまたしたはしや 骨と化す一途の道の隔たりよ 誰もある死のひとつはこゝに釘を打ち 石もて棺を打つ昼の顔揃ひゆく 灰は父なりよこたはる…

一七六号

表紙 冬の道 丸山太郎 口絵 高島にて 武藤完一 写真 おみきの口 穂苅三寿雄川柳時評 温故知新の時 石原青龍刀 【一九五六年の川柳界】 各地だより 【東京だより・酒と川柳】 伊太古【伊古田伊太古】 【大阪だより・ゆく雲流れる水】 葉光【山元葉光】 【四国…