1957-01-25 一月 月々の句 父逝く 昭和三十一年十二月二十七日とふ日 おごそかに凍る師走の夜の訃歩く 骨は全く枯れ夢を收めたり 不足なき齢といふまたしたはしや 骨と化す一途の道の隔たりよ 誰もある死のひとつはこゝに釘を打ち 石もて棺を打つ昼の顔揃ひゆく 灰は父なりよこたはる酒を与へ 一徹の父に描ける骨を拾ひ 骨壷の重さ軽さは胸にひゞけ 酔へば都々逸のあはれさが返り 死を葬るや記憶の底をたゝくなり 墓はいくつもあるそのなかの父の墓 墓標あきらけき父となし陽は上る 家運導き給へ遺影向かせる 八十二高らかな齢父が齢