1957-03-25 三月 月々の句 事勿れ主義のうまみが拾へた齢 人肌の限りを越えずいぢめつけ 乗じ得る手合ひの底でこたへさせ 一片の煙りうきよと言ひたがる 人生の余白埋めゆくや月と歩み 酒うまく天下小さしとも言はで 小娘の唇を濡らして知り足らず 老残の求めて淡き誓ひする あはれ人こそ銭を読みわるびれず 人間の弱き振り切る波騒ぐ