2012-12-12 十二月十二日 古川柳信濃めぐり365日 馬士唄は雲の上まで引出され (柳のいとくち) 逢坂の関の清水に影見えて 今や引くらん望月の駒 紀貫之(拾遺集) 逢坂の関というのは近江国にある。毎年献上に馬を引いてくる人たちをここで迎えた。それを「駒迎い」というが、信濃国からも八十頭、そのうち一番多いのは望月の牧からであつた。 望月の牧というのはいまの北佐久郡望月町の御牧ヶ原、周囲二十四キロにも及ぶ広大な地域で、このあたり信濃国十六牧の中では一番大きい牧野であつた。 この句、雲居の宮に献げられるをいう。