十二月十一日


   明ろくじやなどと豆腐やしやれをこき

              (田舎樽)




 「しやれをこき」は「しやれをいつた」の意。「何こくだ」「ごたこく」「何こきやがある」「屁をこいた」などと信州では慣用語、方言ともとれる。
 たたく、打つという違つた意味で「こく」がある。
 「田舎樽」は今から凡そ百五十年ほど前に出刊された松本地方の川柳句集である。
 文政四年(一八二一)に発行された岡山鳥の『善光寺参詣』のなかに「ナニヲこかしやる」とか「うそをこくづら」があり、地方色をこよなく盛り込んでいる。