十一月二十一日


   信濃もの秋も調う月とそば

            (田舎樽)



 素朴な竹ザルに盛つてきた手打ちソバを、みじんネギを落したタレにつけて食べる味は格別だ。タレにちよつとつける程度で、ソバはよくかまずにノドを通すものという人があるが、ゆつくりかまないとおいしさがわからないのがほんとう。
 そのタレがよく問題になるが、信州で食べるソバはたしかにうまいけれど、どうもタレで東京に一歩をゆずるというのが本音のようだ。歌の文句ではないが「タレか教えてくれないか」