二月四日

   草木より湖から諏訪の春立ちて

            (俳諧ケイ  八)





 きようは立春。きびしい冬の寒さも暦のうえでは春である。しかし、なお膚冷えはしばらく続く。気分的に春が近付いてくるのだ。
 前日の節分の夜はみんなで倖せを喜び合つたことだろう。むかしは節分は年越し日。狂言「節分」はこうだ。主人が年取りに出雲大社へ出かけた留守の女の家へ、蓬莱の島から鬼がやつて来て驚かし、鬼は女の美しさに心ひかれ、流行唄をしきりに聞かせて機嫌をとるが、女は取り合わず、すきをうかがつて宝物を捲き上げ、しまいには豆をはやして追い出す。