二月五日

   権五郎目ざす敵は弥三郎

          (柳多留  五八)





 権五郎の墓と称する一基がある下伊那郡上郷村、白鶏山雲彩寺は夢窓国師の開山。権五郎こと平景政、もともとは相模の国の人。みちのくに藤原武衡を討つた寛治元年(一〇八七)武衡の臣、鳥海弥三郎の強弓で左眼を射られたが屈せず弥三郎の首を得る。
 この句「目ざす」が思いつきで”目刺す”と”目指す”のいわゆるかけことば。こうした掛調の句が古川柳にちよく〱みられる。