二月三日

   浦島が両手に餘る年の豆

          (柳多留 八〇)




 きようは節分。長くそしてきびしい冬の生活に明け暮れる信州では、暦のうえのことだが、あすから立春と聞いただけでも、春が待ち遠しい。
 豆まきをしたあと、家中でコタツを囲んで残つた豆を自分の齢の数だけつかむ。三回のうちに自分の齢だけつかむことが出来ると、その年は幸運であるという。
 この句のように両手にあまつてつかみきれない浦島太郎の長寿にあやかりたいもの。太郎は龍宮から帰つてから、木曽の寝覚の床に住んでいたという伝説がある。