1980-01-01から1年間の記事一覧

二月

▽仕事がすんで居間に戻ってくるとき、十姉妹を置いてある部屋をのぞく。もう薄暗くなった時刻を知っていて、彼女らは巣籠のなかに六羽、至極寄り添うかたまりとなって仲がよい。私はお祝儀のお返しにいただいた紅白の風呂敷二枚でそっとかぶせてやる。寒さか…

二月

どろどろをかぶる機もなく老いの果て 濡れ帰るたのしとせしに身をすくめ あとやさき悟らせてやる黙ってる 替え唄の世におかしくもなくまみれ 愛の鞭覚え戯れ画の重くなる まっすぐな路に乾いて思い置く 狂う凧静かな凧のいずれとも 冬の雨何かが待たれ消して…

四四三号(昭和五十五年2月号)

題字・斎藤昌三 表紙・いしぞねまさかつ カット・丸山太郎田内創造氏 二木千兵氏追悼 田内豆腐店について 本多香木 創造さんの思い出 矢幡水鏡 田内さんの思い出 岩井汗青 親切 所典夫 創造さんを憶う 竹内伊佐緒 出逢い 寺沢正光 父親のように 山岸きよし …

一月

△馬齢を加えるというと、ちょっと体裁がいいが、へりくだってるみたいにカッコウつけているからかも知れない。またひとつ齢をとって申しわけないナンテいう人はいるが、ナゼひとつとらせたんだと怒る人もある。年齢延長の生理的趨勢にプリプリなようだ。 △孫…

一月

いつからか老いの判断ともなって 身に覚えある証しなりちさくとも 取り込みをぬけ出してくる思いよう あとやさき知る身のいまを振舞って 冬へ咲く花のこころに近付かせ 遠い想いが何故かそばにいてくれる 終わる道からそれた小さなこみち 見えぬ手の這い出し…

四四二号(昭和五十五年1月号)

題字・斎藤昌三 表紙・いしぞねまさかつ カット・丸山太郎柳多留輪講聞きかじり評 江端良三 ―現代川柳からみた古川柳 鮎の塩焼 丸山太郎 江戸歌舞伎への招待 佐藤要人 ―小池章太郎氏の近著「考証江戸歌舞伎」を読む 雑詠 大空 石曽根民郎選 二、上越篇(十一…