1971-01-01から1年間の記事一覧

二月

▽頼まれ仕事があって、夕方汽車に乗って出掛ける。いそがしい身分なのに、この日程は狂わない。汽車の中で見馴れた外の風景なので、ちょいと御免よと目をそらし、ゆうべ読み残した伝記ものに喰い入ったりする。またこんなときとばかり、依頼されている選句を…

二月

あわれがる顔寄せつけず時が押し 酔いに忘れてたわいなき膝たたく 利き過ぎたしゃれをおかしてまで言わす もの欲しげなる愛しみが従いて来た 顔色を読ませて読ませて影は小さくなる 土のやわらかさに国の力が打たれ 売名と見ぬく自分をはぐらかし 勇み足まだ…

三三五号(昭和四十六年2月号)

題字・斎藤昌三 続・具里院巷談(二)【食慾】 岩本具里院 晴湖、暁斎、雲坪 石曽根民郎 雑詠 大空 石曽根民郎選 柳多留二篇輪講(二)

一月

▽ひとのことのように思っていた銀婚式が、自分にも廻って来たのに気がついて、ヤレヤレ私たちもひとつの峠に立つんだなと思う。顔を見合わせて、ご苦労さまというほっとした安堵と感謝がいりまじり、頬をほてらすのである。 ▽といっても、還暦祝いすらやらな…

一月

よその国の見聞記自分をさがす 諺の智恵掘り起こす地震説 雲行の思惑に発つタカ派ハト派 時ならぬ雪降らせまた金降らせ 国を好くする反撥が競い合い プロレスの反則が勝つ見て終る 金がぶら下ったまま落ちて来ぬ 国が払うべき傷をなめ見目開き 枕抱くうちの…

三三四号(昭和四十六年1月号)

題字・斎藤昌三 柳界近時一束 石原青龍刀 続・具里院巷談(一)【規制と本能】 岩本具里院 顎庵柳話(七) 田畑伯史 雑詠 大空 石曽根民郎選 山彦集 同人吟 柳多留二篇輪講(一) 句会報