1965-01-01から1年間の記事一覧

二月

▽飼主がいかにお風呂嫌いでも、愛犬くらいは湯浴みさせてやろうと、気を利かせた連中が手足をとらえての洗いようだ。至極柔順で通つている犬のこと、なすがままである。だがあとがいけない。風邪を引かせてしまつたのである。犬なんか風邪を引くものかとあや…

二月

雪しきりに降る思い残した夢を見たく 笑い合い忘れ合う些事まことめき 肌とらえゆく老いの翳ひろまるよ 大いなる遺産城の思いの遠かれや 城高しいまも傷つく顔を並べ のぞみあるような雌雄の匂いたしかめ 雪が来るから身の上ばなし前を向く 老いの目覚めの明…

二六四号(昭和四十年2月号)

題字・斎藤昌三 表紙・丸山太郎 柳誌月評 柳誌年表(38・4〜6)(2) 橘祐 柳多留初篇輪講(二七) 同人雑筆 スキーと温泉 上条義郎 雑詠 大空 石曽根民郎選 山彦集 同人 句会報 【句会のサムライたち(22) 高嶋盛人】

一月

▽犬が仔を産むときは静かで、ひつそりした時刻である。助産婦という人を呼ぶでもなく、声は立てず、至極当たり前のように安々と身軽になるのである。けろりつとした顔付きだ。 ▽うちの犬がそろそろ出産ではないかと、お腹を撫ぜてやつて、いつ頃だろう、日は…

一月

求めらるべきを持ち生きて来た 若い肌がかえらない夜を憎まじと めくるめき世にたがわざるいのちあれ 子は大きく眺め凝視めてわれに向く 寝にいたらんとする仕合せの小ささ きらめきもなくここに棲む果てとするか 通りやんせ酔いのまろさは組すべき 女人抄え…

二六三号(昭和四十年1月号)

題字・斎藤昌三 表紙・丸山太郎 川柳時評 はたして剣花坊は進路をあやまつたか 【−水府の「歳旦発言」について−】 石原青龍刀 柳誌月評 柳誌年表(38・1〜3)(1) 橘祐 柳多留初篇輪講(二六) 雑詠 大空 石曽根民郎選 山彦集 同人吟 句会報 【句会のサムライ…