十二月二十九日
大食の国に飯山飯田なり
(柳多留)
飯山市は北信、飯田は南信。
日本の国鉄線の中で最も積雪が多く、年間千四百万円もの除雪費をかけている長野県の北端の飯山。
信州で一番早く春のおとずれを知るところといえば南寄りの飯田。この飯田から特に多く信濃者が江戸に出たものではなさそうだがこの句は(飯)の字の取り合わせをねらつている。
飯山公民館で実態調査をしたところではこの地方の青年たちは毎年、冬の農閑期を利用して県外へ出稼ぎにゆく。その数は千人を越える。雪が多いため冬の間、これといつた仕事が出来ないこと、また地元に働く場が少ないことが原因。
県外は東京がトップ。六割までが中学校を卒業したばかりの年代から三十才までの青年たち。最高十九回というベテランや、結婚したばかりのカツプルまでが仲よく揃つて参加してゆく例もあるという。