十二月二十三日


   権兵衛が足を踏んだが運の尽き

           (柳多留 三二)



 ラジオ、テレビ、掃除機―何ごともスイツチひとつで思うがままのオートメ時代、モダン石川五右衛門登場、例により大きなカマの中でいよいよ本番。もう煮えてきそうなものと五右衛門観念しきつて待つがどうしたわけか少しも熱くならぬ。はてさておかしいと五右衛門、業を煮やして「どうした、煮えてこぬぞ」係のものあわてて「カマのスイツチを入れ忘れました……」。
 この句、小諸城に封ぜられた仙台権兵衛が五右衛門逮捕の功をあげた事情を詠んでいる。