十二月二十一日


   諏訪の神異世の為に湯と氷

            (新編柳樽)



 諏訪神社上社に諏訪明神と一しよにおられたその妃神が、別れて下社に移られるとき、愛用の化粧品のうち御湯を綿にひたし湯玉として持ついつたが、その途中その湯玉から滴り落ちた御湯が今の諏訪湖畔に湧出している温泉となつたもので、下諏訪の「綿の湯」はその湯玉の綿を捨てられたところであるという伝説がある。
 諏訪市は高島藩の城下町として栄え、下諏訪町はうしろに和田峠をひかえ、甲州街道との分岐点にあたる中仙道の宿場として賑わつた。諏訪湖畔尾の温泉、諏訪湖の結氷は相反し相容るる結びつきがある。