十二月七日


   切れた三ン持たせ信濃を買ひにやり

            (柳多留 二二)


 融通がきかぬということはガンコと解される。そのいい例は信州人。だからユーモアを感じとれぬ人種との定評も生む。底抜けの笑いがなくバカ騒ぎのムードがわいてこない。いい気持で酔うはずなのに、妙に議論に走つてなかなかゆずりあわない――これが会合で見る信州人の性格である。
 三味線の三の糸が切れたので、間違わぬようにその切れた糸を持たせて、同じものを買つて来いよといいつけられ、素直にうなずくお天気やでもある。