十二月八日


   先刻の間違信濃者と詫び

         (川傍柳 二)



 信州の教育水準は高い。どんな小さな部落にも立派な校舎がある。明治、大正にかけてすぐれた教育理念を注入し、そこから独特のものを生み出してきた伝統があるからだ。長い冬の間を炬燵にあたりながら読書の習慣を身につけたことにも力がある。そこには「信州教育の滅びるときは日本の滅びるときだ」といわれるほどに、他からのいき大信頼と自負がある。しかしここにも時の流れにぶつかり、率直な批判と反省を踏み越えてゆくところに現実のきびしさがある。