十一月二十七日


   女には今でも迷ふ紅葉狩

          (柳多留 三)



 紅葉の名所近く歓楽街が巾を利かした。正燈寺や海晏寺のすぐそばに吉原、品川が手ぐすねして待つていた。女の世界だ。
 兎角、男たちは迷うのである。ついふらふらと心を動かしがち。
 紅葉狩で迷つた男は江戸ばかりではない。遊女ならぬ鬼女紅葉にうつつをぬかした平維茂がいる。上水内郡戸隠村柵の荒倉山の麓で折柄の紅葉狩の酒宴に誘われ、初めは迷つたが首尾よく退治した。
 この附近、維茂足跡石、維茂鞍掛石、紅葉塚など言い伝えられているものがある。