2012-11-26 十一月二十六日 古川柳信濃めぐり365日 紅葉した顔に維茂初手油断 (飛騨桜山八幡奉額) お万の毛のようだとは髪の毛の長いことの言い廻しだ。それほど長かつた。お万は鬼女紅葉の腹心、女だてらに威勢のいいところを見せたのである。 裾花川の流れに沿つた部落、上水内郡戸隠村柵の背後の峰が鬼女の伝説で有名な荒倉山だ。その麓には「鬼の岩屋」と呼ばれた洞穴がある。平維茂がこの鬼女紅葉を退治した物語りは「紅葉狩」、謡曲や歌舞伎で名高い。 この句、酔顔の美女にやわやわとつめよられ、誘惑の盃を重ねてゆく男の弱さ。