十一月二十四日


   落葉して小家を見出す木曽の奥

           (柳多留 一五一)




 イブモンタンが唄うシヤンソン「枯葉」をしみじみ味わうにもつてこいの季節である。
 この句、繁茂していてわからなかつた落葉のあと、小家を見つけた奥深い木曽風景。
 ところで長野県の生んだ天才的な日本画家といえば菱田春草飯田市出身。文化財指定の傑作「落葉」がある。琳派風の伝統が残り写生風のところもあつて清潔。信州の気候風土のしみこんだ理知的な感じが横溢する。岡倉天心、橋本雅邦、下村観山、西郷孤月らと日本美術院を結成し、特に大観の好きライバルでもあつた。日本画に深い内容をあらわすスタイルを創造した先駆者。明治四十四年九月十六日歿、三十八歳。