2012-11-16 十一月十六日 古川柳信濃めぐり365日 妾の兄でも兼平はきつい事 (万句合 天明元・義二) 木曽義仲をめぐる女のうちで山吹、葵と指折りかぞえて最もお気に入りというば、まず巴御前だろう。なかなか堂々として、その翳に艶なところがほの見えるうえに、一旦馬上の人になれば千軍を叱咤する勇婦だから、ひときわ目立つ。 巴御前の兄は今井兼平、木曽四天王のひとり義仲とは乳兄弟。というのは兼平の父は信濃権守中原兼遠で、義仲の二歳のとき父義賢を頼朝の兄の悪源太義平に殺されたが、兼遠は義仲の乳母の夫で、義仲を抱いて木曽にのがれた。そんじよそこらの妾の兄と違う。