十一月十五日


   稲妻はもう雷電となる下地

          (柳多留 九三)



 きようは七五三の祝い。よい門出に子供の抱負を聞こう。「ボク大きくなつたらお相撲さんになりたい」そこでお国自慢の雷電為右衛門の話をしてあげよう。小県郡東部町滋野の出身。狂歌作家として有名な蜀山人は彼の手形を押した扇面に賛をして
  百里をもとどろかすべき雷電
        手形を以て通る関取
と詠つた。大男であつたが風姿温厚でみんなに親しまれた。
 この句の稲妻は稲妻咲右衛門。二人の名力士の名を取合せしたしやれ。