十一月十三日


   豊平も身をのす鷹のみさご腹

          (飛騨日吉山王奉額)




 鷹をならすにはまず籠の中にとじこめて水だけあたえ、それから腕のうえにとまらせることを教える。野鳥の肉を羽に包み、これを投げて飛びつかせる。鷹匠はこれをくりかえして訓練する。
 上伊那郡長谷村の依田豊平は今から九百数十年の昔、一条天皇の秘蔵する鷹を飼い立てておほめにあずかり、検校の官に就いて非持に屋敷田園をたまわつた。「豊平屋敷跡」と伝えられるのがそれだ。
 この句、身をのすは出世するの意味で、みさご腹はいわば名鷹出身。頃合いもよし、狩猟シーズンである。