2012-10-29 十月二十九日 古川柳信濃めぐり365日 あゝ景色伏屋の里の秋の暮 (俳諧ケイ 二二) 美濃国から上坂峠を越えて下りきつた一帯の地を園原という。 園原や土賊のうへにおく露は みがける玉のここ地こそすれ 曽原紀行 下伊那郡阿智村知里。延喜式の官道に当り古くは「伏屋の里」とも呼ばれ、また箒木と木賊の名所として、信濃国の歌枕のなかにあらわれる名高いところであつた。 「伏屋」とは小山の下りに家を造り、屋根が地に打ち伏したようであるからと言うし、また「布施屋」の転訛で、王朝時代に駅路のあちこちに設けた旅人のための接待所、湯茶をもてなし或いは宿を貸すなど布施を行うためにこしらえた屋舎の称だとも言う。