十月二十七日

   平家物語大めし喰いが書き

         (柳多留 一九)




 全十二巻。すでにいうまでもない軍記物の最大傑作、平家物語。この作者についてはいろいろの説があるが、その中のひとつ。兼好法師の「徒然草」二百二十六段に「後鳥羽天皇の御時、信濃の前司行長が、学問にすぐれているという評判が高かつたが、のち学問を捨てて出家し、この行長入道が平家物語を作つて、生仏といつた盲人に教えて語らせた」とある。
 この前司行長が平家の作家という証明はないが、この川柳の作家は信濃者としてその信濃者のレツテル“大めし食い”をはりつけたというわけ。
 きようから読書週間が始まる。ひるがえつて古典をひもどくのも意義があるであろう。