十月二十二日

   もう許せ〱に飯綱笑ひ出し

              (俳諧五万才)




 飯縄の法というものがある。狐を使う一種の妖怪で、古の茶耆尼天の法を行つたものと言われる。
 管狐という鼠ほどの小さい狐雌雄を飼い馴らしこれを使役して人力の及ばない不思議なわざを披露した。
 この修験は長野市芋井の飯縄山の飯綱神社が相継いで伝えた。飯縄大権現又は飯砂山大明神といわれ、祈祷呪詛を行う人はこの神を本体としたのである。
 この句、よほどの仙術を施したと見え、もう堪忍してと哀願している体。