十月二十一日

   薄雲はみちのくと名をかへたがり

              (川傍柳 一)




 仙台伊達侯に落籍された高尾は、島田重三郎という愛人があるためになかなか靡こうともしなかつた。綱宗は怒つて三股川の船中で吊し斬にしたといわれるが、その後、薄雲を根引きして晴れやらぬ胸をやつと晴らしたのである。
 高尾は伊達侯をいやな想いに落とし込んだけれど、薄雲は(ふりそうな名)であるにかかわらず、笑顔もて快く迎えてことになる。それだから仙台薄雲と呼ばれ、本句のようにいつそ「みちのく」と変えたかつたことだろうの意。薄雲は埴科郡坂城町南条の出身。