十月十八日

   三代で六文あます信濃もの

          (柳多留 一五一)




 きのうに引続いて貯蓄の話である。減らす話ではないからご安心ください。
 三代かかつてたつた六文では貯蓄のヒケツにならないではないか、とムキになる人も多かろう。三代とは真田三代のこと。幸隆・昌幸・幸村で、幸村の兄は信之といつて、本多忠勝の娘を貰い、これが徳川家康の養女だつたから関ケ原合戦のとき昌幸・幸村の父子と信之は敵味方になつた。豊臣・徳川等の大勢力の均衡を利用したのだ。
 信之は真田の家紋の六文銭をあました勘定になる。ちとヤヤコシイ戦略的貯蓄法。