十月十七日

   銭つかひ上手にしたは安房

           (柳多留 三五)




 きようは貯蓄の日である。まず貯蓄の第一歩は無駄使いをしないこと。金使いのうまいベテランは安房守だ。
 天正十一年(一五八三)上田城を築いた人がこの安房守・真田昌幸である。
 昌幸には信之と幸村の二人の子がある。信之は徳川家康の養女を妻にした関係で、関ケ原合戦のときは上田城の攻略に参加し、父子兄弟敵味方に分れてしまつた。
 昌幸のハラはどこにあつたか。この句のたとえのように、真田父子の智略がものを言い両テンビンに掛けたことになるわけだ。