家に年寄り子供には奇応丸
(出所不明)
きようは鉄道記念日。
西筑摩郡福島町の馬市は江戸時代から続く日本三大馬市のひとつだが、鉄道のなかつた頃はここに集まるのにさぞかし難儀を極めたことだろう。
ここで取引きされた木曽馬を売渡すときにその証拠として福島町で創製された奇応丸を添えてやつたこともあるほどだ。
奇応丸は二百数十年の歴史を持ち、薬箱を背負い美濃・尾張・伊勢あたりから越後の方面まで行商して評判が高かつた。
小児の病気の特効薬として家庭薬に欠かせなかつたから、家には年寄りがいなくてはおちつかないと同じように、子供には奇応丸はなくてはならぬものと、この句の意味。