十月十三日

   権兵衛が種を蒔いたは五万石

          (柳多留 一四三)




 仙石権兵衛が小諸五万石に封ぜられたのは豊臣秀吉に仕えて勲功をたてたからだつたが、そのひとつに大盗石川五右衛門を捕えた逸話がある。
 その石川五右衛門は三条河原で釜ゆでにされるとき、大胆不敵にも辞世一首を詠み、泥棒界のために大いに気を吐いた。さぞ熱かつたろうというオチの落語「強情の灸」は同情的だ。
 五右衛門の事蹟は戯曲中に取り入れられ脚色されたが、元文二年(一七三七)金門五三桐が最も名がある。