十月十日

   耳と耳目がねをかけるしかけ也

              (田舎樽)



 きようは眼の愛護デー。
 この頃はどうも新聞が読みにくい、活字が小さいせいだろうとタカをくくつていたら、老眼の時期が来たことで、感嘆久しうする人もいる。
 読書のシーズン。受験勉強で知らず知らずに視力が落ちることがわかり、ちよつと憂鬱になる若い人もいるにちがいない。
 わざわざ眼鏡をかけないで用の足りるコンタクトレンズという便利なものができて、この句のような耳と耳との連結はいつか忘れられるだろう。
 「田舎樽」は江戸時代松本で発行の句集。