十月八日

   送り膳の仕方小笠原にもれ

           (桜鯛 二)




 秋は結婚シーズン。披露宴によばれていながら出られないままに送り膳を届けて貰つた人もあるかも知れない。
 送り膳というのは、人を招待して御馳走を折角出したのに何かの都合で来られなかつた場合、その人のうちへお膳を送り届けることだが、いかな小笠原流の礼法でもこの送り膳のしかたは教えなかつたという意味である。
 小笠原氏は建武以来、信濃国守護職として伊那の松尾城にいたが、貞宗のとき信濃の中央の松本平の井川城に移つた。この人がいわゆる小笠原流の基礎をつくつた。