九月二十八日

   おぢさまといふなと小式部をしかり

              (柳多留 一六)




 和泉式部といえば平安朝時代の女流歌人。初め泉守橘道貞に嫁して小式部内侍を生み、道貞の死後、為尊・敦道両親王の寵を蒙り、のち、更に丹後守藤原保昌の妻となつた。しかし保昌と不和を生じてまた離別した運命の人でもある。「和泉式部日記」「和泉式部集」等を著した。
 下諏訪町来迎寺の「鉄焼地蔵尊御縁起」によれば、式部は諏訪市中洲の金子というところの百姓の一人娘であつたと伝えている。真偽のほどは判らないが、式部の墓とか、屋敷跡とかが附近に伝承されてされている。
 大盗袴垂保輔は藤原保昌の弟であつたという説がある。